トレチノイン・ハイドロキノン療法とは

出来てしまったシミを消す方法として話題になったトレチノイン・ハイドロキノン療法。

肌のターンオーバーを早めるトレチノインと、できてしまったシミを漂白・還元するハイドロキノンの2種類の軟膏・クリームを使用してシミや色素沈着を段階的に消すという治療法です。

東大病院の美容皮膚科などで受けられる方法が、NHKのあさイチ、ためしてガッテンなどで紹介されて広まりました。

また、昔からあるオバジ療法も、トレチノインとハイドロキノンを使用した方法です。こちらはニキビ跡に特に効果的とされます。

画像の説明

軟膏やクリームでシミが消えるというととても簡単そうに聞こえますが、実際はそうでもありません。

トレチノインとハイドロキノンは刺激の強い薬剤です。

ハイドロキノンは化粧品に配合することも可能ですが、トレチノインを化粧品に配合することは認められていません。

これらを医師の指導の下で高濃度で使用して、効果的にシミを消そうとするのが、トレチノイン・ハイドロキノン療法です。

トレチノインはビタミンAの一種ですが、皮膚に塗ると赤みが出て、角質が剥がれてきます。

この角質剥離作用でターンオーバーを早めるとともに、単体では浸透しづらいハイドロキノンの浸透をよくします。

またハイドロキノンでも一時的にシミが濃くなる、皮むけが起こるなどの副作用があり、薬剤使用中は紫外線への抵抗力がなくなります。

反応の出方は人によって異なりますが、薬を塗ってだんだん薄くするというよりも、皮膚のバリアを壊してかさぶたを作って剥がすという外科的な治療に近いものです。

ハイドロキノンには強力なメラニンの漂白還元作用があります。

美白効果があるといわれている成分はアルブチン、コウジ酸、エラグ酸など様々ありますが、そのほとんどがメラニンの生成を抑制する予防効果にとどまります。

できてしまったシミに対する漂白・還元作用があるのは、ビタミンC、ビタミンC誘導体、浸透型ビタミンC誘導体(APPS)などビタミンC系以外にはごくわずかです。

トレチノイン・ハイドロキノン療法中には、赤くなって皮が剥ける状態があり、かゆみもあるなど、一時的に肌はボロボロになりますので、相当の覚悟が必要な治療です。

小さなシミならそれほど問題ではないかもしれませんが、肝斑などの顔の広い範囲のしみに行う場合、実質的に人前に出られない期間ができます。引きこもれる生活環境にいる方はまだしも、接客業の方などには厳しいでしょう。

また、治療中は室内でも日焼け止めを塗るなど徹底して紫外線を避ける生活が必要です。

このほかにも、トレチノイン・ハイドロキノン療法は、薬の塗り方や回数、中止の時期など、シミや治療の進行の状態によって医師の細かな指示があります。

こまめな診察を受けるために通院する必要もあり、手間のかかる治療といえます。

料金は消したいシミの種類や深さなどで一概には言えませんが、時間もかかり、費用も高額になると思われます。

シミ消しの治療は美容目的のためは皮膚科でも保険の適応はされませんので、各医院の裁量に任されていますが、受けた人の話では初診で5万円、トータル30万円かかったという話も聞きました。

また、トレチノイン・ハイドロキノン療法で効果が薄いしみにはレーザーも併用されます。レーザーが適応できるシミであれば、レーザーによるシミ消しの方が確実で、受ける側も手間がかからず時間もかからず、費用も安いと思われます。

トレチノインを使わずハイドロキノンのクリームのみでもシミの還元効果はあります。

トレチノインと併用するほど劇的な効果はなく、浸透が悪いため時間がかかるものの、一手間省けるので、トレチノインは使用せず、ハイドロキノンクリームのみの処方をしている皮膚科も多いです。

また低濃度ハイドロキノン化粧品で地道に自分でお手入れする方法もあります。

低濃度でもハイドロキノンが肌に合わないタイプの方、より穏やかなケアを希望する方は、オバジCシリーズ等、同じくメラニン還元作用のある高濃度ビタミンC配合化粧品や、高浸型ビタミンC誘導体APPSを高濃度に配合した化粧品APPSとフラーレンを同時配合した化粧品でも同様の効果が得られ、ハイドロキノンに比べ肌への刺激は少ないので、ハイドロキノンが合わなかった方はこういった化粧品に切り替えるのも一つの方法です。個人的には、APPSにはかなりの効果を感じました。

実際にAPPS化粧品を使用してみた感想はこちら→ APPS化粧品の肌への効果の評価

シミにはハイドロキノンが効果のあるタイプのシミ、効果のないタイプのシミがあります。

皮膚科医にシミの診断をしてもらうと、どのタイプのシミに効果があり、どのタイプのシミには効果がないかを知ることができますので、より効果的に化粧品を選ぶこともできるでしょう。

また知識がないまま自己流で高濃度ハイドロキノンを使用するのはとても危険ですので、知識に自信のある方でなければ、一度は皮膚科で使い方の指導を受けることをおすすめします。

東大皮膚科のトレチノイン療法の文献はこちらhttp://www.cosmetic-medicine.jp/list/index.html